地球の悲鳴を伝えた女性
はじめまして。今年度から小林研究室にお世話になります、学部3年の川邉です。
よろしくお願いいたします。
最近は家にいることも増え、読書が捗っている方も多いと思います。
私は最近読んだ本について調べる機会があったので、今回はそちらを紹介したいと思います。
みなさん、『沈黙の春』は読んだことありますか?
「自然は、沈黙した。うす気味悪い。
鳥たちは、どこへ行ってしまったのか。
みんな不思議に思い、不吉な予感におびえた。
裏庭の餌箱は、空っぽだった。
ああ鳥がいた、と思っても、死にかけていた。
ぶるぶるからだをふるわせ、飛ぶこともできなかった。
春がきたが、沈黙の春だった。」
(2002,新潮社,『沈黙の春』1.明日への寓話 より)
1962年に出版され、DDTなどの化学物質が環境や生き物に世代を超えて影響をあたえることを初めて警告したものであり、環境問題の古典とも言えます。
また、アメリカの歴史を変えることのできた一冊として評されることもあります。
DDTとは1938年に作られた殺虫剤であり、WWⅡ後に多く使われました。
1950年代の後半には200種類以上の新しい化学物質が開発され、数百ポンドの農薬が全世界に撒き散らされていたそうです。
著者のレイチェル・カーソン(Rachel Carson)(1907-1964)さんは小さいころは作家を夢見る文学少女でしたが、大学時代の生物学に触れたことで生物学者になります。
『沈黙の春』を出版した直後、「科学の素人」「黙殺すべき本だ。」「まったくの誤り」などという意見もありましたが、彼女は
「『沈黙の春』を読んでいないのか、読んでいたとしても正しく理解しようとしない人だ」
と言っていたそうです。かっこいいですよね。
このように批判的な声もありましたが、称賛される声もまた多く、世間は動きだします。国会や農務省、公衆衛生局などに全国から投書が殺到し、J.F.ケネディ大統領も農薬委員会を設置したのです。
賛否両論の中、レイチェルさんに嫌がらせもありました。
けれども彼女は自分の書いたことの正しさを信じていたため、決して屈さず、最終的にはアメリカを動かしました。
実は、『沈黙の春』出版後もDDTを使い続けた国も多く、日本でもシラミ予防として使われていました。彼女の意見も正しいですが、マラリア原虫など、DDTを使わなければ守れなかった命もたくさんあります。
一番大切なことは彼女によって化学物質がもたらす環境汚染の重大性をみんなが知ったこと、議論が起こるほどに世間が関心を持ったことだと思います。
長くなってしまいましたが、以上が私の本の紹介になります。
本を読んだ後、その本について調べると感じ方もまた変わってきます。
本の楽しみ方は内容以外にもたくさんあることを改めて実感しました!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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