研究紹介:時空の離散化
こんにちは、M2の佐野です。
もう6月になり、そろそろ梅雨が近づいてきました。
研究室もそろそろ湿気が多めになってきたので、
どうにかしなければと思う今日この頃です。
さて、今回は時空の離散性についてお話します。
現在我々がいるこの世界は、疑いもなく連続なものだと感じています。
というよりも、離散的、つまり穴ぼこだらけだなんて思ったこともないですよね。
でも、実は宇宙初期のエネルギーや温度がかなり高かった時には、
時空そのものが離散的だったのではないか?と示唆されています。
というのも、
宇宙初期は宇宙そのものがとても小さかったため、
ミクロの世界を記述する量子力学と
重力について記述する相対性理論を合体させた
量子重力理論というものを考えなくてはいけません。
(これはまだ完成してない理論です)
この量子重力理論を考えると宇宙初期の次元が
現在の(3+1)次元と比べて低かったと示唆されています。
例えば、CDT(因果的動的単体分割:時空自体を三角で分割して考えるもの)では
有効次元が2次元時空になると示唆しています。
では、この次元の低下と離散はどのように関係しているのでしょうか
例として、空間2次元を考えてみましょう。
連続的な面上では、当たり前ですがどの方向にも行くことができます。
それでは、離散的ならどうでしょう。
離散的な2次元面として、下図を考えてみましょう。
これは、シェルピンスキーのギャスケットというものです。
(興味のある方はどういう図形か調べてみてください)
白い三角の部分がすべて穴なので、連続的な時と比べて行ける方向が限られてきます。
つまり、2次元ほどの自由度はないということになります。
ただ、1次元よりは行ける範囲、つまり自由度は高いです。
実際に次元(今回はハウスドルフ次元)を計算してみると、
約1.6次元となります。
これらのことから、
宇宙初期の有効次元が低く、
それは時空が離散的になっていたからではないか
と考えることができます。
(詳しくは以前のブログで書いているので、もしよければご覧ください!)
今回は空間が離散的であると考えていましたが、
時間が離散的であってもおかしくない。
むしろ、相対論的には時間と空間は等価に扱うので、
時間も離散的なのではないか?
ということで、
最近は時間結晶という物質について考えているのですが、
それについてはまた次の機会に!!
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